渡り鳥になりたい

最初からミニマリストな理系大学院生(博士課程)の日常

博士課程って何?(1) - 大学院の進学率と就職率の観点から

こんにちは、とある理系大学院の博士後期課程に在籍中の秋(シュウ)です。

これはブログ説明文にも書いている情報ですけど、馴染みのない方は「何それ?」と思うかもしれませんね。

ということで、何回かに渡って「大学院って何?」「博士課程って何?」をまとめてみたいと思います。

 

初回は大学院の定義と、進学率、就職率についてです。興味のある方は最後までスクロールをどうぞ。

なお、以下に紹介するデータは 平成28年度学校基本調査 - 文部科学省、および 我が国の大学・大学院の現状 - 経済産業省 より引用しております。

 

 

大学院の定義と区分

学校教育法によると、

大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、 または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、 文化の進展に寄与することを目的とする。

と規定されているそうです。

 

これだけ読んでも「へぇー」としか思えませんが、ようは様々な「専門家」な育成する機関です。理系で研究職に付きたい場合は、大学院への進学が必須になることが多いです。

4年制大学の課程を卒業した人(および同等の学力を有すると認められた人)を対象にしています。

大学の場合は周りは同年代である場合が多いですが、大学院の場合は留学生や社会人の割合も多いです。

 

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大学院 - Wikipediaより。

この図のようにいろいろと細かく区分はされていますが、別にここはそういう用語を定義したい場所ではありませんので、どうでもいいです。

 

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大学院 - Wikipediaより。

アイキャッチに示した画像、こちらの方が一般的なイメージでしょう。

 

大学院の最初の2年を「修士(マスター)課程」、残りの3年(ないし4年)を「博士(ドクター)課程」と呼ぶのが一般的です。

今後、私の文章内でも特に断りがない限り、この言葉を使って説明していきます。

 

博士課程への進学率はどれくらい?

これは平成20年のデータなので少し古いのですが、最新データをざっと見ても大差はなかったので、 まとまっているこの図でみてみましょう。

 

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 我が国の大学・大学院の現状 - 経済産業省より。

「4年制大学へ進学する人は世代人口の約半分である」は有名な話でしょうか。

ここについていろいろと主張したいことはあるのですけど、それはまた別の機会にしましょう。

 

毎年の大学の卒業者56万人に対して、大学院修士課程への進学者が6万7千人であるため、進学率は約12%です。

これは各分野の統計であり、理系に限ればもっと数値は高いです。

 

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平成28年度学校基本調査 - 文部科学省より。 

  

理学42%、工学37%となっていますが、これも全ての大学の統計数値であるため、実際にはもっと偏りはあります。

ほぼ0%の学校もあれば、9割に近い学校もあるでしょう。ちなみに私の所属する研究室は「え、院に行くのは当然だよね?」という空気です。

 

そんな私の所属研究室でも、大学院修士課程の2年間を終えて、就職する人が大多数です。

毎年の修士課程の卒業者7万4千人に対して、博士課程への進学者が8千人であるため、進学率は約11%です。

こちらもほぼ旧帝大と一部の有名大に偏っているので「いるところにはいるけど、周りに博士の知り合いなんて全然いないなぁ...」という状況になるわけです。

 

世代人口になおすと、全体の約0.5%となります。

次に説明しますけど「研究大好き」「学問大好き」という人でも、よっぽどのことがない限り修士で卒業するのが普通です。

博士課程に進学するとストレートで卒業しても27才、なんやかんやあると普通に30オーバーになります。ついでに言うと研究者の世界は45才以下は「若手」と表現するそうです。

まぁ、そりゃ集まる人はどこか風変わりな人達ばかりで、「博士は奇人変人の集まりだ」という揶揄はある意味正しいのでしょう。

 

博士課程卒業後はどうするの? 

では、博士課程を卒業した後の進路はどうでしょうか?

大きく4つに区分されるのでそれぞれ簡単にみてみましょう。

 

・医者になる

医学博士を取得した場合はこのコースでしょうか。私の周りにはいないパターンですので、詳しいことは分かりません。

 

・大学教員になる

いわゆる「アカデミア」の世界です。

博士進学者の中で、このポジションを狙っている人は多いでしょう。ただ限られたポストしかないので、なかなか厳しいコースであるのが現実です。

 

・ポスドクになる

ポスドクとは「ポストダクター」の略称であり、博士課程を修了したあと、大学や研究機関で任期付きの職に就いている研究員のことです。

任期付きですから、安定した身分ではありません。

これにはいろいろと問題点もありますし、私も身近な例をいくつも知っているのでそのうちまとめ記事を書きたいと思います。

大学教員を目指してギラギラしていた博士進学者たちは、たいていはポスドクになってどこかをさまよっています。

 

・民間企業に就職する

一昔前よりは増えたと言いますが、それでも修士卒の人との就活事情はだいぶ異なるようです。

博士卒業後でアラサーですからね。それを企業が積極的に採用するには相当なアピールが必要でしょう。

あるいは「自分の専門分野と全く関係ないところに就職する」という人も一定数いるようです。

 

そして.... 

 

有名なブラックジョーク : 博士の闇

「世界がもし100人の村だったら」の博士バージョン「世界がもし100人の博士だったら」はこの世界にいたら有名な話です。

そうでなくても一時期話題になりましたので知っている方もいるかもしれません。そうでない方がぜひ下のリンクからどうぞ。 

 

オチを言っちゃいますと、

・100人の博士のうち、16人は「無職」であり、もう8人は「行方不明または死亡」である。

・毎年1000人以上の博士が行方不明、死亡になっている。

とこの話は締めくくられています。

 

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先ほど出したデータにも確かに「大学院博士課程終了者→進路不明 約1600人」となっていますね。

 

ただ、これは「統計データのトリック」が入っていますのでご注意ください。

「大学院修士課程終了者→進路不明 約2200人」「大学学部卒業者→進路不明 約11000人」です。

文字通り「連絡が取れない」だけであり、それを「行方不明または死亡」と言葉を変えているだけです。

 

どのような集団でも「連絡がとれなくなる」というのは一定数必ず発生します。そして学部生に対して、博士の母集団の数値が小さいので、「一定数」が必要以上に目立つのです。データであれば本来はノイズの部分です。

また、博士課程は他と比べて海外からの留学生の割合が多いですから、そのような人たちの卒業後の進路把握、特に日本以外に戻った場合の把握は難しくなるのでしょう。

 

これらを踏まえてでも、この話がここまで有名になったのは、「正しい面もある」からです。

決してもう「末は博士か大臣か」の時代ではありませんし、「就職率」の面から見れば、博士課程まで進まずに修士課程で就職するのがもっとも効率は良いでしょう。

 

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平成28年度学校基本調査 - 文部科学省より。 

 

私は博士課程のブラックな面もよーく知っています。

それでもなんでわざわざ博士課程に進学したのか?その話はまた別にしたいと思います。

 

まとめ

  • 大学院とは4年制大学卒業(相当)した人の進学先である
  • 大学院は2段階に分かれており、前半の修士課程2年、後半の博士課程3年が一般的である
  • 世代人口における進学率は修士課程で約5%、博士課程で約0.5%である
  • 博士課程卒業者の就職率は約6、7割である(任期付き含め)

 

いろいろと書きましたが、ここらへんの数値の感覚を知っておけば、私が今いるのがどのような世界か少しはイメージがつくでしょうか?

 

今後このカテゴリーでは、私が現在いる「研究室(ラボ)」という世界の一片を、私の周りの(私も含めて?)奇人変人達を、皆さんにご紹介していく予定です。

興味のある方は、ぜひまた訪問いただけたら嬉しく思います。

読者登録も大歓迎です。

 

というところで、本日はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。